【S】サンタさんにお願い(1)

恋に仕事に疲れ切った女性がいました。

彼女はとても疲れていたので、

クリスマス・イヴに一緒に過ごす人がいないことに気付いたのが、

当日の朝でした。

仕事を終えて、夜遅くに帰途についた彼女。

街はクリスマス一色で淋しさは募るばかり。



「おねえさん、おねえさん♪」



くいくいと、コートの裾を引っ張られて。

見るとそこには小さな女の子が、笑顔でいます。

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「はい。これあげる。」

渡されたのは、ちいさめの箱。

「メリー・クリスマス♪」



「あ、ちょっと!」

女の子は、雑踏の中にまぎれて、見えなくなってしまいました。

困った女性は、とりあえずその箱を持って帰りました。

「こんなものを渡されてもねぇ?」

家に帰り、一人でショートケーキをつつきながら。

綺麗に赤いリボンのかかった箱をながめます。

「まあ、いっか。」

ひとりの淋しさも手伝って、彼女はその箱を開けてみることにしました。

出てきたのは、サンタクロースのお人形ひとつ。

お人形にはカードが添えられていました。


『願いごと一つだけ かなえてあげましょう。

ただし 願えるのはクリスマスが終わるまで』



「悪趣味な悪戯ね。」

彼女はため息をつきます。

でも、気を取り直して、サンタクロースをつつきながら、願いました。

「ではサンタさん。私をキレイにして、あの人を振り向かせて?」

すると、どうでしょう。

いきなりお人形から声がしました。

『願いごとは一つだけだよ。キレイになるか、あの人を振り向かせるか。

どっちにするんだい?』

驚いた彼女は、声も出ません。

『早くしておくれ。次があるんだよ。』

サンタクロースが急かします。

でも心臓はドキドキいってるし、体は硬直しているし。

「じゃあ、あの人に好きになって欲しいの。」

やっとのことで。ふるえる声で。

彼女は願いごとを告げました。

サンタクロースのお人形は、ちょっと微笑んで、それきりなにも言わなくなりました。

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翌朝。

すべて夢だったせいにして。

疲れた体を引きずるように出勤した彼女。

声をかけてきたのは、憧れていた“あの人”です。

「仕事、頑張りすぎだから。終わったら、今夜はご馳走させてくれる?」

サンタクロースは、ちゃんと願いを叶えてくれたのでした。

その後、憧れの彼と結婚して。

子供達に囲まれて。

幸せの中、彼女は思うのです。

自分の選択は間違っていなかったと。

ちょっぴり容姿にコンプレックスを抱きながら・・・・・・・・・・。



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