例えばこんな<叙述ミステリー>

殺してやる。
本気で、そう思った。
ここまで待たせておいて、いきなり別の女と婚約するなんて。
その上まだ別れ話をしないなんて。
このままズルズルと関係を続けるつもりなのかしら?
残念ね。
事実を知ったからには、そんな気になれないわ。
だから私、決心したの。
殺してやる。
あなたを。

今日はお肉の特売日。
ちょうど二枚パックになっていたから、迷わず買った。
他にも色々買ったけれど。
今日はあまり荷物になる物を買えないの。
いつもは自動車で行く、あなたのマンション。
電車で三駅の距離。
最寄りの駅まで歩いて、駐輪場から鍵のかかっていない自転車を拝借。
頑張ってあなたのマンションまでペダルを漕ぐ。
人目につかないよう、裏道を選んで。
マンションに着いたら取り敢えず駐輪場に止めて、入り口へと向かう。
ここの駐輪場は人目につきにくく、利用者も少ないから少し安心。
でも用心。
玄関ホールにはカメラがあるから一階分は非常階段で上る。
これでここに来たことはバレないわ。
あなたの部屋に着いたら、すぐに料理に取りかかる。
もうすぐいつもの帰宅時間だもの。
私の指には、指紋が付かないよう、透明マニキュアが塗ってある。
どこを触っても大丈夫よ。
この日のために、このお部屋も綺麗に拭き掃除してある。
調理時間を省くため、予め作っておいた料理を、
綺麗にお皿に並べて、お肉を焼く。
焼き上がる前に、あなたは帰ってきた。

「いい匂いだね。」

そう言って顔をほころばせ、着替えて食卓に着く。
私が座るのなんて待たない。
並べてある料理を口に運び始めるの。
知っているから、最近は私の分をテーブルに置かない。
いつものこと。
ほんとうに、どうしようもない人。
焼き上がったお肉を差し出す。
すぐに、ナイフで切って口に運ぶ。
「美味しい?」
そう聞きながら背後に寄って、手にした包丁で背中からブスリ。
刺す前にキッチンペーパーを背に当てたから、返り血は付かなかった。
何枚も重ねたキッチンペーパーが、見る間に赤く染まっていく。
あなたは何か言いたげに、私の方へ顔を向けたけれど。
言葉にはならなかった。

♪♪♪

その時、私の携帯電話が鳴った。
ビックリした。
出てみると、友人からだ。
「近くまで来てるんだけど、家にいる?」
どうしよう?
あ、でも・・・・・・・・。
「いるよ。でも片付けるから少し時間ちょうだい。
そうね、30分もあればいいわ。」
約束をして切った。

あら、大変だわ。
ここから駅まで5分。
電車で10分。
家まで10分。
ギリギリよね。
私は材料を買ったお店がわからないように、
特売のお肉とかを袋に詰めて、彼の部屋を出た。
一人分のお皿しかない食卓だもの。
彼は一人で食事をしていたように見えるはず。
そうなるように気をつけたから大丈夫。
抜かりはないわ。
自分に言い聞かせるが、時間の制限が出来たことで、気が焦る。
一階まで下りるエレベーターの中の時間がとても遅く感じられた。
全くいいタイミングで電話してきたわよね。
自転車を引っぱり出して、駅まで猛ダッシュ。
途中でお肉の入ったレジ袋ごと、川に捨てた。
駅に着くと、いいタイミングで電車が来た。
タイミングが悪くて時間を取ったら大変だったわ。
そして更に家まで早足で歩く。
走ったら汗をかいたり髪が乱れたり、怪しいものね。
家にいることになっているから。
家について人心地した辺りで、その友人は来た。
何事もなかったように、私は友人にお茶を振る舞ったのだった。

完璧よ。
だってアリバイは友人が証明してくれる。
淋しいけれど、私と彼の仲を知る人もいなかった。
そう。
完璧なつもりだった。
だけど。
数日後、警察は、私のところへやってきた。
勿論彼の殺人容疑。
重要参考人として、任意出頭しろですって!
話を聞いて、私は「あ!」と言ってしまった。

さて。
私はどうして犯人になってしまったのでしょうか?


【回答】
※反転してあるので、ドラッグしてから読んでくださいね。
※モバイル閲覧の方。
丸見えなのでここから少し進まずに考えてくださいねf(^_^;)


難易度1★☆☆☆☆
案外簡単です。。。。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。。。





「何のことだかわからないのですが。」
そう言う私に対して警察の人が言った。
「だってあなた、監視カメラに写ってますよ?」
「有り得ません。」
彼は一枚の写真を取りだした。
「ほらね。」
そこに写っていたのは。
エレベーターから下りる私の姿だった。

友人の電話に慌てた私は、そのまま一階まで下りてしまったのだ。

私は逮捕されることになってしまった。
残念だわ。
こんなことなら。

・・・特売のお肉、捨てずに食べれば良かった。






さて。
小説風でお届けしました。
楽しんでいただけたかなぁ☆
また、何か思いついたらやりますね。
今回、回答の前に「難易度」も入れてみました。
・・・どうかなぁ。
要らないかな?
ま、試しに(笑)
内容は、ほんのちょっとしたコトなんだけど。
でも、人間のすることなんて、こんなモノかもしれないです((^┰^))ゞ


ついでだから、これは少し手を入れて、
小説ブログの方にも後日載せることにしますね(爆)




ポール・スローンの札束を焼く強盗―水平思考推理ゲーム ウミガメのスープ(3)

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この記事へのコメント

2007年01月29日 08:53
(´0ノ`*)オーホッホッホ!!
謎は、簡単に解けましてよ~♪
階段と、エレベーターですね。
で。。。解凍(回答)を覗くと・・・
最後の彼女の台詞が・・・
。゚( ゚^∀^゚)゚。ブワッハハ八八ノヽノヽノヽ
でした。
ちょっと、貧乏性の彼女が好きです^^
2007年01月29日 11:23
難易度1ということで、正解でした♪
凸ねこさんも書いてらっしゃいますが、
オチのコメントがいいですねw
柴成
2007年01月30日 00:46
【凸 ねこ様】こんにちはw
うみゅ☆
簡単すぎましたかねf(^_^;)
>貧乏性の彼女が好きです^^
作者が貧乏性なのかも(爆)

【KOROPPY様】こんにちはw
こちらも簡単すぎましたね☆
オチのために捨てさせました(笑)
元作は別作業だったのですがf(^_^;)
お楽しみいただけて嬉しいですw

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  • 彼と特売と殺人事件

    Excerpt: 殺してやる。本気で、そう思った。ここまで待たせておいて、いきなり別の女と婚約する Weblog: 柴成的自由創作帖 racked: 2007-04-14 14:04