【S】最後のカーネーション

おとなりの おねえさんが 花たばをかかえてた
あかい お花を いっぱい
それで きいたの
 
「お花 どうしたの?」
 
おねえさんは しゃがんでくれて
みみのそばで おしえてくれたの

「今日は母の日だからね、お母さんにカーネーションを
プレゼントする日なのよ」

「ははのひって なぁに?」

「毎日ご飯作ってくれたり、いろいろ頑張ってるお母さんに、
いつもありがとうって、感謝する日なの。
5月の第2日曜って決まってるのよ」

よくわからなかったけど 
おかあさんは まいにち いそがしいの しってる
わたしを ほいくえんに つれていってから
おしごとにいくの
おべんとうも まいにち おいしいよ
おむかえにきて またすぐ おしごとにいくの
ときどき ひとりでおるすばん してるんだよ
かえってきたら ばんごはん つくってくれるの

「じゃあ、ありがとうって言ってあげようね」

おねえさんは 花たばをかかえて
おうちへ かえっていったよ
おうちの中で おねえさんの おかあさんが
とてもうれしそうに はなしてる こえがきこえた

そうだ!
わたしも おかあさんに プレゼントしよう!

あの あかいお花は カーネーションってなまえなのね
かどの お花やさんにあるのかなぁ?

おうちにかえって ちょきんばこ ひっくりかえした
あけちゃだめよって いわれてるけど
おかね ここにしかないもんね

中にあるの ぜんぶポッケにいれて
また おでかけしたの

かどのお花やさんは しまるまえだった

「カーネーション ください」

おかね ぜんぶ だしてみた
これでかえるかな?
でもお花やさんは こまったかおをしたの

「今日はもう、殆ど売り切れちゃったんだよねぇ・・・」

おみせの中に おとなりのおねえさんが もっていたお花はなかった
あかいの なかった・・・
でもおくに しろいのをみつけた

「あれは?」

お花やさんは ますますこまった かおになった

「白いカーネーションはね、お母さんがいない人が買う花なの。
でも、あれしか残ってないよねぇ・・・」

どうしよう?
ないちゃだめ って いわれてるけど
なみだが でてきた
おかあさんに ありがとうって いえないよ・・・

「ああ、泣かないで。
んー・・・・・・ちょっと待ってて。
このお金で、買えるだけでいいんだね?」

お花やさんは、あわてて 白いお花をもって
おくへ はいっていった

おはなやさん ごめんなさい
ないちゃった
でも どうしよう?
白いのは だめなんだよね?

ハンカチで なみだ ふいてたら お花やさんが もどってきた

「ちょっと反則だけど、これプレゼントしてごらん。
こんな事しかできないけど、ラッピングもしたから。
いいコには、大サービスしといたからね」

しんぶんしに グルグルまきで なかがみえない

「いい?
お母さんに渡すまで、下向きにしておくんだよ?
あとね、帰る時とか、ぶつけないでね。
お花が折れちゃうからね。
わかった?」

こくん
うなずいて しんぶんしの かたまりを もらいました

「中を見ちゃダメだよ。
後でのお楽しみだからね。」

お花やさんに ありがとうって いって おうちへかえった
かかえると じめんにつきそう
そおっと
そおっと
かえっても さかさまにしたまんま
ずっと もってた

ちょっとしたら おかあさんが かえってきた
てが つかれたから すぐに わたしたよ

「あら?なあに?」

「あのね、ははのひなの
ありがとうの プレゼントなの」

おかさあんは うれしそうだった

「あのね
あのね
でもね
白いのしか のこってなかったの
ごめんなさい・・・・・・」

おかあさんは しんぶんしを はずしてた

「そんなことないわよ。
あら、素敵ねー」

おかあさんは すごく うれしそうだった

「ほら、見てごらん」

お花は4ほん はいってた
でも・・・白いのじゃなかった

「あれ?」

「母の日にプレゼントしてくれるいいコだから、
お花やさんが、カーネーションに魔法をかけてくれたのね」

かためを つぶった おかあさんは
みたこともないぐらい うれしそうだった

お花やさんは まほうを つかえるんだ
すごいなー

ちょきんばこ あけちゃったから
また ちょきん しよう
らいねんの ははのひ には
あかいの ちゃんとあげるんだ

おかあさん ありがとう
お花やさんも ありがとう

みんなみんな ありがとう
ははのひって いいひだね


画像









「先日は、うちの娘がご迷惑をおかけしてしまって、すみませんでしたね。」

「いえいえ、可愛くていいコだから、頑張っちゃいました。」

「あれって・・・その・・・吸い上げの?」

「ええ、そうですよ。
カーネーションは水あげのいい花で、
薄い色の花だと、
色の付いた水に浸しておくと、その色に染まるんです。
本当は一昼夜かかるんですけど、時間がなかったので、
切り口を少し焼いて、そこに直接絵の具をつけましてね。
たくさん水を含ませた脱脂綿でくるんでたんです。」

「本当にありがとうございました。」

「いえいえ、喜んでいただくのが、商売ですから♪」

「そう言っていただくと・・・。」

「この話は、ナイショにしててくださいね。」

「ええ。主人にも内緒です。」

「それはそれは・・・。」

花屋さんと母親が会話する5月の空は、澄み渡っていた。




<END>




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